世界には不思議な現象が目撃されることがあります。
もしも、あなたが「空から魚が降ってくる」というシーンを目撃したとすれば?
一体そのような事実をどう受け止めたらいいのでしょうか。
これは架空の問いかけではありません。
現実に「空から魚が降ってくる」光景を目撃してしまった人々が世界にはいるのです。
今回は空から何かが降ってくる謎の現象、「ファフロツキーズ」についてご紹介していきます。
目次
謎の落下現象ファフロツキーズとの遭遇
ファフロツキーズ(Fafrotskies)とは?
ファフロツキーズという言葉を作り出した人物はオーパーツ(OOPARTS)の命名者でもある超常現象研究家アイヴァン・サンダーソンです。
1911年生まれのサンダーソンは若い頃に世界旅行に出掛けて、世界各地の不思議な現象を見聞します。
アフリカはカメルーン旅行の最中では、渓谷で現地人に恐れられる牙持つ巨大な怪鳥「コンガマトー」に襲撃され、銃で応戦したこともあるそうです。
コンガマトーは翼竜の末裔あるいは未発見の大型コウモリ説を持つ未確認動物ですが、サンダーソンは遭遇したと主張しています。
そんな経験がサンダーソンに未知の現象への好奇心を強めていったのか、アメリカに帰国した彼は超常現象研究の作家としてのキャリアをスタートさせたのです。
サンダーソンは「falls from the skies」(空からの落下物)を略すことで、ファフロツキーズ(Fafrotskies)という造語を作りました。
サンダーソンに影響を与えたチャールズ・フォート
ファフロツキーズをサンダーソンが名付けることになったのは、彼が超常現象研究の草分け的な存在チャールズ・フォートのフォロワーだったからです。
古今東西の様々な超常現象を取り上げた出版物を刊行しつづけたチャールズ・フォートは、多くのSF作家や超常現象研究家に知識と情熱を与えます。
チャールズ・フォートは著作『THE BOOK OF THE DAMNED』のなかで、空からの謎の降下物について紹介していました。
熱心なフォロワーの一人であるサンダーソンにもその情報を与えることになり、サンダーソンがそれらの現象に造語を与えるきっかけの一つになったのです。
チャールズ・フォートの書物はエセ科学である古代宇宙飛行士説など、様々な非主流派の学説を生み出すことにもつながります。
しかし、チャールズ・フォート自身はあくまでも見聞したエピソードをまとめただけと主張し、オカルト組織を非難する人物でもあったのです。
そうであったとしても、20世紀の超常現象研究の草分け的なカリスマ二人が、ファフロツキーズの認知度を上げることに貢献しています。
しかし、怪しい現象ではありません。
ファフロツキーズそのものは、実際に起きているのです。
ファフロツキーズ/怪雨と呼ばれる現象は世界各地で起きてきた
ファフロツキーズの和名は「怪雨/あやしのあめ」になります。
怪雨は江戸時代の百科事典である『和漢三才図会(わかんさんさいずえ)』にも記述があり、空から石が降ってきた、獣の毛が降ってきたなどの報告は日本でも古来から報告されているのです。
日本のみならず、世界各地でファフロツキーズと呼ぶにふさわしい、空から降るはずもない物体の降下現象は実際に起きています。
- 紀元前54年、イタリア、四角い鉄の固まりが空から降ってきた。
- 9世紀の日本、空から石造りの矢じり(矢の先端部分の尖ったもの)が降ってきた。
- 1858年5月、フランス、大量のカブトムシが空から降ってくる。
- 1861年2月シンガポール 、市内各地で魚が空から降ってきた。
- 1876年3月アメリカ、肉片が空から降ってくる。ケンタッキー肉の雨事件としてフォートの著作に掲載。肉の種類は、熊、鹿、人の幼児説、菌類の作り上げた物質説がある。
- 1890年イタリア、空から鳥のものと考えられる血の雨が降る。
- 1890年アメリカ、空から小さなワニが降ってくる。
- 1901年アメリカ、空から大量のカエルやヒキガエルが降り、地面に積もる。
- 1918年8月、イギリス、干からびてミイラ化したウナギが十分間にわたって空から降り続ける。
- 1956年、アメリカ、ナマズやブラックバスの群れが降ってくる。
- 1968年、イギリス、空からおよそ50枚のコインが降ってくる。
- 1981年5月、ギリシャ、北アメリカ産のカエルの群れが大量に降ってくる。
- 1989年、オーストラリア、ニシン800匹が空から降ってくる。
- 1990年代後半、イギリス、10ポンド紙幣が大量に空から降ってくる。
- 2001年、インドで赤い雨が降る。赤い雨とともに小魚も降る。
- 2009年6月、日本、大量のオタマジャクシが降ってくる。
- 2018年6月、中国、強風をともなう雷雨のなか、雹といっしょにタコ、ヒトデ、エビ、アワビなどの魚介類が降ってくる。
ファフロツキーズは実在する現象
上記のようにファフロツキーズは紀元前のヨーロッパから現代のアジア、19~20世紀の欧米などで報告されています。
生きた魚の群れだけでなく、乾燥した魚の群れ、コインなどの金属、肉片や血液、カエルの群れ、果てはワニまで降ってきているのです。
収穫期でないのに、リンゴが大量に落ちてきたなどの報告もあります。
ファフロツキーズは歴史的にも古くから観察されてきた謎の現象でありながらも、普遍的に実在しているものです。
地球の空からは謎の物体がひんぱんに落下してきています。
ファフロツキーズは実在していますが、はたして、それはどうし起きているのでしょうか?
超常現象支持者の説もあれば、正統派の科学にもとづいた説も生まれています。
2 ファフロツキーズの原因!?
エセ科学的な知見によるもの
ファフロツキーズの原因を考察したもののなかには、正統派の科学からは異端視された説もあります。
UFOがばらまいているのではないかという説や、宇宙から飛来したものではないかという説。
あるいは四次元空間に蓄積されていた物体が落下してきたなどの、科学的な根拠には欠く説もあるのです。
それらも完全に否定できないものかもしれませんが、正統派科学もファフロツキーズに対して解明を挑んでいます。
鳥の食べこぼし説
魚や肉片が落ちてきたという説には、鳥が獲物や消化しかけのエサを落としたのではないかという説があります。
2009年の日本のオタマジャクシ事件は、鳥が吐き出したものです。
水鳥は群れで行動する種も少なくありません。
そして、鳥は危機を感じると胃袋の内容物を吐き出す習性も持っています。
吐き出すことで体重を軽くして身軽となり、脅威から逃げやすくするためです。
また仲間が吐くのを見れば、鳥は反射的に行動を模倣して吐くことも珍しくありません。
そのため、きっかけがあれば数十から数百ぴきの群れ全体が空中で胃袋の中身を一斉に吐き出すことも起きるのです。
それが消化しかけであれば肉片や血の雨となり、海辺や川辺で鳥の群れが魚群を襲ってから時間が経っていなければ?
鳥は歯を持たず丸のみする食事のスタイルであるため、生きたまま、あるいは新鮮な状態の魚を大量に降らせることになります。
飛行機からの落下説
金属類やコイン、お札などについては飛行機からの落下や意図的な投下が考えられてもいます。
飛行機の積み荷が落ちたり、あるいはイタズラとして故意にばらまいたりすれば、ファフロツキーズが発生するわけです。
ファフロツキーズの特徴のひとつにもあげられる現象に、一ヶ所に集中して落ちていることがあります。
飛行機からの落下物であれば積み荷はそれほど分散することもなく、風のない穏やかな日にもファフロツキーズが起きても不思議ではありません。
大量発生を勘違いした説
生物はときに通常の数十倍~数百倍の数になることがあります。
大量発生したカエルなどが、メスをめぐってオスたちがゲコゲコと求愛の歌を鳴きながら巨大な群れを作ることも、自然では起きているのです。
数分前まで何もなかったところに、いつのまにか近くの池から這い出てきた数万匹のカエルが集まっている。
そんな状況を始まりと結果だけ見てしまえば、いきなり数万匹のカエルが現れていると誤解するかもしれまん。
そして、競争を勝ち抜こうと活性化するあまり、アドレナリンを帯びた結果として、通常よりもはるかに高く跳んだカエルが地面に次々着地する瞬間を目撃すれば?
空から数万匹のカエルが落ちてきたという誤解したエピソードの完成です。
捏造・イタズラ説
すべては単なる嘘か作り話であるかもしれません。
空から降ってくる物体に、神聖さを見いだすことは不思議なことではないのです。
隕石などを天=神さまからの贈り物として、祭り上げることもあります。
そういった秘伝の品を、自分の地元にもほしいと考えれば、捏造することは難しくないものです。
空から降ってきた、天使がくれた、天狗が落とした、さまざまなエピソードを作り上げれば、伝来の聖なる宝物の完成になります。
そういった品物があれば、参拝客は増えるものです。
あるいは、もっと単純にちょっとした嘘が大騒ぎになることもあります。
もしも、あなたの冗談により国内外から大勢のテレビ局の取材クルーたちが、時間と労力と大金を使って取材に来たら。
わざわざ遠方から来てしまった方たちへ、素直に自分の嘘を白状できますか?
竜巻説:最も有力な説
日本でもときおり発生して被害を起こすものに竜巻(たつまき)という自然現象があります。
ファフロツキーズが起きる理由のひとつに、竜巻に吸い上げられたものが落下してきた、という考察も行われているのです。
これは最大の支持を集める説であり、多くのファフロツキーズを説明できます。
水上竜巻に群れで動くことが多い小型の魚の群れが巻き込まれたら?
あるいは大量発生しているカエルでも、海を越えた土地にいる異国の生物でも同じです。
竜巻に吹き飛ばされれば、数百キロある牛でも数キロ~数十キロ先まで飛ばされることもあります。
台風の最大瞬間風速の2倍~3倍以上で暴れている竜巻に吸い上げられてしまえば、何だってはるか遠くの土地まで吹き飛ぶことになるのです。
船の部品や備品が、海や川から40キロ離れた農地まで竜巻により吹き飛ばされることもあります。
イカリやクサリなどの金属製の重たい部品であっても問題なく吹き飛ばされてしまうのです。
また、竜巻でなくそれより威力の強いつむじ風などであっても、小型の生物やそれほど重たくないものであれば、数百メートルから数キロ先まで運んだとしても不思議ではありません。
ファフロツキーズの多くは科学で説明可能
およそのファフロツキーズは科学で説明することが可能です。
竜巻以外にも微細な菌類が空中に巻き上げられて、雨雲のなかで雨粒と一緒になり降ってくるという気象現象も起きています。
これらの菌類に赤い色素が含まれていることで、インドの赤い雨は降ったのです。
小さな物体であれば空に運ばれてしまうことは少なくありません。
ファフロツキーズは超常現象というよりも、日常的に起きている自然現象と見ることはできます。
まとめ
- ファフロツキーズは空から降るはずのない何かが降ってくる現象のこと
- ファフロツキーズの名付け親はアメリカの超常現象研究家サンダーソンであり、書籍で紹介して広めたのは超常現象研究家チャールズ・フォート
- ファフロツキーズは古今東西、世界各地で起きている
- ファフロツキーズでは水棲生物、金属、血の雨、肉片、札束、牛、ワニなどあらゆるものが落ちてきた
- ファフロツキーズの原因は鳥の食べこぼし説、飛行機からの落下説、大量発生説、イタズラ説、竜巻説
黄砂という現象は現代の知識があれば不思議でも何でもない現象ですが、知識のない時代では空から降ってくるファフロツキーズの一種に認定されていたかもしれません。
海の向こうから砂が吹き飛ばされて来るという考え方を、知識なしにできる人は少数派です。
空に浮かぶ天国からでも降ってきたと思う方が、ある意味では素直な発想かもしれません。
ファフロツキーズの多くは科学で説明がつくものです。
もちろん、UFOからサンマを捨てることを趣味とした宇宙人がいないとは言い切れないものですが。
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