みなさんは、そのあまりにも特異な風貌から「世界一醜い動物」ともいわれる「ダマスカスヤギ」をご存知ですか?そのあまりにも得意な風貌で、ネット上で「モンスター?」「UMA (未確認動物) ?」といわれてしまう一方、サウジアラビアでの品評会では「最も美しいヤギ」に選ばれたとか。一体どういうことなのでしょうか?
目次
ダマスカスヤギとは?
ダマスカスヤギは中東原産のヤギの一種
ダマスカスヤギ(Damascus Goat)は、中東諸国を原産地とするヤギの一種です。
「ダマスカス」は現在のシリア南西部に位置する街で、ダマスカスヤギはその名がしめすように、シリアからエジプトにかけた広い地域に古くから生息していました。
その後、イギリス人によってイギリスの植民地だったキプロスに持ち込まれ、品種改良を重ねることで、高品質な肉と乳がとれるようになりました。
現在では、食料安全保障のための国連の専門機関「国際連合食糧農業機関(FAO)」から高い優先順位を与えられています。
ダマスカスヤギは見た目がとにかくユニーク
ダマスカスヤギの特徴としてあげられるのが、とにかく特異なその風貌です。
体に対して頭が不釣り合いに大きく、耳は筒状の不思議な形状をしており、マズル(口から鼻先までの部分)は短く、鼻は上を向いています。目、耳、鼻、口がそれぞれありえない位置に配置され、その奇怪さは見る者を不安な気持ちにさせるという意見があるほどです。
ただでさえヤギの目は怖いといわれがちですが、ダマスカスヤギの目は特に不気味さを感じさせます。初めてダマスカスヤギを目にする人は、先にヤギの一種だと聞いていなければ、とてもそうだと思えないことでしょう。
その風貌は、家畜化されて繁殖を重ねるうちに現在のようになったとされており、原種とはずいぶんかけ離れたものになっているようです。
その特異な風貌に一種の信仰心を持つ地域もあり、「シャーマン・ゴート」とも呼ばれています。そのため、繁殖する際には特異な風貌の個体を選んで交配させるということが行われたといわれています。それがこの風貌に影響しているのですね。
ダマスカスヤギ が話題になったきっかけ
ダマスカスヤギは、中東では昔から繁殖されていましたが、それ以外の地域ではほとんど知られていない存在でした。それが世界的に知られるようになったのはつい最近、2018年ごろにアフマド・ラマダンという人物が、その画像をFacebookに投稿したのがきっかけでした。
投稿された画像は、そのアンバランスでインパクトのある風貌ゆえに、「モンスター」「UMA(未確認動物)」「突然変異」などといわれて話題となります。画像は瞬く間に世界中に拡散され、ついには「世界一醜い動物」といわれるまでになったのです。
突然、その醜さで世界中の話題となったダマスカスヤギ。
しかしその一方で、2008年にサウジアラビアで開催された、ヤギの美しさを競う品評会では「最も美しいヤギ」に選ばれています。
美の基準は国や文化によって違うとはよくいわれることですが、「美しさ」とはわからないものですね。
ダマスカスヤギの成長過程
ダマスカスヤギは子供のころはかわいい
さらに、ダマスカスヤギの面白いところは、成長するにしたがってその風貌が変わること。
実はダマスカスヤギは子どもの頃から醜いわけではありません。
子どもの見た目は普通、というより耳が異様に長いことを除けば、むしろ神秘的で美しいとさえいえる風貌をしています。
この子どもとときの風貌についても、まるで神話やファンタジーに出てきそうなどとネットで話題となりました。
耳を切るのはなぜ?
この長すぎる耳は、家畜として管理する際に不便だとして、短く切られてしまうそうです。筒状の耳の形状はこのためです。
そして、成長するにしたがってその風貌は奇怪さを増し、変貌を遂げていくのです。
実際にダマスカスヤギの成長する前と成長した後の画像を見比べてみると、そのあまりの変貌ぶりに愕然とすることでしょう。この変貌の謎も、人々の関心を引く要因のひとつとなっています。
ダマスカスヤギの肉と乳は高品質
このように、その風貌で有名になったダマスカスヤギですが、注目されるのはその外観だけではありません。中東ではむしろ、肉と乳の品質の高さで人気があるのです。
ダマスカスヤギは、一般的なヤギよりも早く、大きく成長します。その乳は高品質なうえに量が多く、1頭のメスから1日に3リットルもの乳を搾乳できます。
日本では一部の地域でしかヤギ肉を食べる習慣がないので、想像しづらいかもしれませんが、ダマスカスヤギの肉もたいへん美味であるとされています。
1度の出産で2〜4頭と子どもをたくさん産むうえ、体が大きいのでたいへん重宝されています。
そのため、ダマスカスヤギはたいへんな高値で取引されることも珍しくありません。最高級のダマスカスヤギならば、250,000サウジリヤル(日本円で750万円前後)以上の値がつくこともあるそうです。
まとめ
美と醜を合わせ持ち、なおかつ高品質な肉と乳でも人々を魅了するダマスカスヤギ。
その存在は、つい外見に目を奪われがちな我々人間に警鐘を鳴らしてくれる貴重な存在なのかもしれませんね。
かなうことならこの目で見てみたいものですが、残念ながら日本国内で飼育しているところはないようです。
どうしても一目会いたいという人は、中東にいくしかないようですね。現地では動物園でも会うことができるそうですよ。
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