アボリジニー:歴史やアート、楽器、ブーメランなど解説

世界には多くの民族が存在していますが、オーストラリアの先住民族のことをアボリジニーと呼んでいます。

アボリジニーたちは古い歴史をもつ先住民族であり、現存する人類の文化では最古のものと考えられているのです。

しかし彼らは他の先住民族たちと同様に、移住者の影響を強く受けてしまった集団でもあります。

今回はオーストラリアの先住民族である、アボリジニーについてご紹介していきます。

アボリジニーの歴史

アボリジニーは4万年以上前にオーストラリア大陸に到達

人類がその起源であるアフリカを出発してから、世界各地に多くの人種と文化を発生していくことになります。

アボリジニーは南アジアから太平洋上の島々を渡り、オーストラリアにたどり着いたグループになります。

彼らがオーストラリアにたどり着いたのは少なくとも4万年前になると考えられているのです。

5万年~12万年以上前にオーストラリアに到達していた可能性もありますが、遺骨としての最古の記録が4万年前になります。

アボリジニーはオーストラリア大陸内で少数の集団に分かれて住みながら、多くの部族へと分かれていったのです。

アボリジニーの歴史の多くは謎

考古学的な研究に頼ることでしかアボリジニーの歴史を紐解くことは困難です。

アボリジニーの伝承によれば黒人や白人との接触があったともされているため、アフリカおよび中東などの船乗りが古い時代にもオーストラリアにやって来ていたという説もあります。

壁画などの遺物にはインドネシアの伝統的な帆船が描かれていることもあり、オーストラリアの周辺の土地と交流があったと考えられてもいるのです。

しかし文字を使った歴史は残されていないため、伝承や神話を分析することによって予想された大雑把な歴史になります。

アボリジニーへの迫害の歴史

(出典:wikipedia)

1788年以降にオーストラリアはイギリスの植民地となり、やがてイギリスから大量の移民が送り込まれることになります。

このときに送り込まれた人々の多くはイギリスで罪を犯した犯罪者たちや、暴力的で素行に問題があるとされた人々です。

オーストラリアは「イギリスの流刑地」として使われることになり、荒くれ者の白人たちはアボリジニーをスポーツハンティングの対象にして虐殺し始めます。

1828年にはイギリス兵がアボリジニーを自由に殺害・捕獲する権利を保障した法律などが生まれることになるのです。

捕獲したアボリジニーを食料のない島に置き去りにしたりするなど、多種多様な手段を用いて殺していくことになります。

とくに肥沃な土地に暮らしていた南部のアボリジニーたちには、大きな悲劇が襲いかかったのです。

豊かな土地で暮らしていたため積極的な略奪と虐殺の対象となります。

かつてのアボリジニーが暮らしていた土地はイギリス人の植民地になり、その土地にいた多くのアボリジニーの歴史は永遠に失われています。

さらにオーストラリアは長い期間、その他の土地との接触が限られていたために、アボリジニーはオーストラリア以外で発祥した病気に対する免疫をもってはいなかったのです。

インフルエンザや結核、生殖能力を低下させてしまう性病などのさまざまな病気がアボリジニーのあいだで流行することになり、人口は減少し続けます。

とくに天然痘に対するアボリジニーの免疫は弱かったために、天然痘だけでその人口の50%が失われてしまうのです。

イギリスの入植が始まった当初は50~100万人いたアボリジニーの人口は、1920年には7万人、1930年には5万人まで減少することになったのです。

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アボリジニーの文化

アボリジニーという言葉が指す範囲

「アボリジニー」という言葉は侵略者であるイギリス人が使っていた侮蔑的な意味をもつ言葉になります。

この呼び名はオーストラリアに住んでいた無数の先住民グループたちを、ひとまとめに呼ぶ言葉です。

アボリジニーの使う言語

数百の言語を使うグループがオーストラリアには住んでいたと推測されていますが、大半が失われています。

現在は多くのアボリジニーが英語を話しており、アボリジニーの言語が混じった特有のアボリジニー英語が使われています。

アボリジニーの食習慣/ブッシュ・フード

アボリジニーの伝統食であるブッシュ・タッカー/ブッシュ・フード(出典:Edible Oz)

アボリジニーの住むオーストラリアは過酷な土地であり、農業には向かない場所が多くあります。

そのためアボリジニーは狩猟採集を中心とした生活を築き上げていったのです。

アボリジニーが食料としていたのは、カンガルーやエミューや大トカゲなどの陸上生物に始まり、川ではワニ、海ではジュゴンやカメや大型魚類などを狩猟します。

ヘビ、鳥、ミツバチやイモムシを含む多くの昆虫、サトイモやココナッツ、ベリーにフルーツと自然界で採取することが出来るもののおよそ全てを口にしています。

オーストリア本土でのアボリジニーが家畜として飼育していた動物は、野生犬ディンゴとウナギのみです。

トーレス海峡島のアボリジニーはヒクイドリとブタを家畜にしています。

近年ではアボリジニが伝統的に狩猟採取していた動植物を、ブッシュ・タッカーまたはブッシュ・フードとして呼んでいます。

アボリジニーのブーメラン

(出典:britannica.com)

アボリジニーのブーメランは大型の獣を捕らえるために使用されています。

ブーメランといえば投げると戻ってくるような印象がありますが、大型動物に対するブーメランは「投げっぱなし」になる狩猟用具です。

カンガルーなどに投げつけて使っています。

もともと狩りでは槍が主要な道具として使われていて、その他にもブーメラン状ではない棒などを投げつけることでもハンティングを行っていたのです。

またオーストラリアの野生犬であるディンゴも、アボリジニーは狩猟の道具として飼いならしていたとされます。

アボリジニーは焼き畑も行っており、森林を焼き払うことでカンガルーなどの獲物が増えやすい環境を得ていたのです。

魚を捕るさいには有毒植物を粉砕することで得られる毒液などを水中に放つほか、網を使う漁や釣りなどを行います。

大型の魚などには槍などを直接、投げていたと考えられます。

アボリジニーは優れたハンターなのです。

アボリジニーの宗教と文化

アボリジニーはアニミズムを信仰する

アボリジニーの宗教はアニミズムの一種となります。

自然界の全てが霊的な由来をもつと考えています。

特徴的な考え方は「アルチェリンガ」であり、「ドリームタイム」とも訳されています。

人生の始まる前と終わった後は「夢」と呼ばれる概念に所属します。

これは世界を創造するための時代や場所となり、つまり世界の根源を成すための領域が「夢」になり、創世の神話の神々や英雄、そして人々の魂が所属しています。

アボリジニーは狩猟のために各地を旅し続ける民族でもあり、妊娠中も旅を続けることになるわけです。

胎児の人生が始まる時間は妊娠五ヶ月とされており、胎児が腹のなかで動くのを母親が感じたときこそが人生の始まりになります。

そのときに旅をしていた土地に伝わる神話や伝説を表現した歌が、子供のシンボルや守り神、あるいは精神的に所属するカテゴリーのような役割を持つことになるわけです。

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アボリジニーのソングラインとウルル

ウルル(エアーズロック)(出典:wikipedia)

「ソングライン」とは歌に神話的な物語要素と共に、一種の地図的な情報を組み合わせたものになります。

ソングラインに与えられた歌詞の通りに旅を続けることで、適切なコースで旅をすることが可能とされています。

アボリジニーの伝統的な考えにおいては全ての土地は生きていて、その土地が生きている状態を保つためには歌を歌い続けることが必要なのだとされているのです。

ソングラインに刻まれた重要な地点は神話上での聖なる土地であり、目印として利用しやすいほど目立つ形状をしたものが選ばれる傾向が強くなります。

「ウルル」ことエアーズロックなどは典型的な聖地であり、アボリジニーにとっては世界や人を創造した神でもある「虹蛇」の卵とも伝わっているのです。

世界を創造した神々は空に住み、地下に戻る最中に世界を創造したとされています。

大地は死であり未来である「夢」を象徴するものに近しくあります。

アボリジニーの音楽

ディジュリドゥを演奏するアボリジニーの男性(出典:ThePowerEdit.com)

シロアリに食い荒らされたユーカリの木を使いディジュリドゥ(Didgeridoo)と呼ばれる管楽器を使用して音楽を奏でています。

独特の重低音を鳴らす楽器であり、男性が使うべき楽器とされています。

ちなみに、シロアリはアボリジニーの神話では、復活と再生の意味をもっている生物でもあるため嫌われている生き物ではないのです。

アボリジニーのアボリジナルアートとボディ・ペインティング

フェイス・ペインティング(出典:Widewalls)

アボリジニーは文字を持たないため、情報伝達は口伝の歌や絵などの芸術作品を用いることで行ってきた民族になります。

自分たちの体にボディ・ペインティングを施すことで、動物などの絵を描き物語や情報の伝達に儀式などに使います。

顔に塗るフェイス・ペインティングにも意味があり、額を走る白い線は先祖と過去を、鼻を通る白い線は現在を、ほほに描かれる白い線は未来を示すものです。

これらはドリームタイムを現すものになります。

アボリジニのドット・ペインティング(点描画)(出典:Culture Trip)

また岩壁などにドット(点描)を使うことで色々な事象を抽象的な絵として残します。

さらにエックスレイ・ペインティングと呼ばれる手法も使うことになるのです。

エックスレイ・ペインティングは病院などで使うX線写真、つまりレントゲン写真のように骨や内臓が透けているような絵のことです。

こうすることで狩りの獲物の可食部分などを示していたと考えられています。

アボリジニの服装

伝統的には男女ともに全裸で暮らしていましたが、祭りのときなどには毛皮などで作ったものを着ることで儀式などを行っています。

現在のアボリジニーの状況

オーストラリアを支配する白人層は国際的な圧力の結果、アボリジニーに対する数々の迫害を停止していくことになります。

その結果、一時は5万人にまで減っていたアボリジニーの人口も30数万人にまで回復してきています。

しかし社会的な地位は低いままであり、アボリジニーの子供の自殺率は高く、体質により起きやすいアルコール中毒や心筋梗塞などの病気も頻発する傾向にあるわけです。

他のオーストラリア国民に比べて10年~20年ほど平均寿命において短命であり、貧しいあげくに不健康という立場に立たされています。

アボリジニーはオーストラリアにおいて、社会的には悲惨な立場のままです。

まとめ

  • アボリジニーはオーストラリアの原住民
  • アボリジニーの歴史は古い
  • アボリジニーは優れたハンターである
  • アボリジニーはイギリスから来た白人に虐殺された
  • アボリジニーの文化は歌と絵で伝えられてきた
  • アボリジニーの宗教は「夢」という概念を持つ
  • アボリジニーには「ウルル/エアーズロック」は聖地で虹蛇の卵
  • アボリジニーの社会的地位は相変わらず悪い

オーストラリア史上最高のスプリンターであり、メキシコ・オリンピックの銀メダリストのオーストラリア人がいます。

ブラックパワー・サリュートの参加者の一人であるピーター・ノーマンは、人種平等を訴えたあげくオーストラリアの白人社会から「裏切り者」とされ悲惨な人生を送ることになります。

アボリジニー・アスリートでシドニー・オリンピックの金メダリストであるキャシー・フリーマンは、オーストラリア国旗とアボリジニー旗の2枚に身を包んだことで問題視されました。

両者ともオーストラリア史上最高のアスリートたちでしたが、オーストリアにおける白人至上主義の強さを現す結果を世界に知らしめる結果となります。

アボリジニーにとってオーストラリアはかつてよりは改善されたものの、居心地が悪い国でありつづけているようです。

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