堕天使とは?意味やルシファー等の堕天使、悪魔との違いを解説

ユダヤ教やキリスト教、そしてイスラム教には神の忠実な部下あるいは下僕として「天使」という存在がいます。

天使は神に忠実な存在であり、神に代わって様々な仕事をこなします。

しかし天使がいるのと同時に「堕天使(だてんし)」と呼ばれる者もいると考えられているのです。

この堕天使とは果たしてどんな存在なのでしょうか?

今回は堕天使たちについて解説していきます。

堕天使とはどんな天使なのか?

堕天使は元々は天使

ユダヤ教、キリスト教、イスラム教が経典としている聖書には、神が人を作るよりも以前から多くの天使を従えていたとされます。

天使は神により作られた大きな力を持った存在であり、神や世界のために仕事を与えられて、それをこなして来た者たちです。

しかし全ての天使が神に対して忠実ではありませんでした。

天使の一部には、自分たちを作った神に対して反抗した者たちがいたのです。

神はそういった天使たちを天国という楽園から追放します。

追放された元は天使であった者たちを、堕落した天使=「堕天使」と言うようになったのです。

つまり堕天使とは、元々は天使なのです。

堕天使の意味

神に反乱して追放された堕天使たちには、象徴的な意味が与えられることもあります。

暴食、色欲、強欲、憤怒、怠惰、嫉妬、傲慢など人を罪や堕落に導く「七つの大罪」を司る力もあるわけです。

どうして堕天使たちがそれらの強い悪徳のシンボルになれるかといえば、彼らが元々は天使であり、全能な神には劣るものの、それぞれの分野では神に匹敵しかねない力を持たされていたからです。

堕天使たちは人類を悪徳と堕落に誘い込み、キリスト教的な美徳に反した道を歩ませるのです。

堕天使とはローマ・カトリック教会においては、神と対立する邪悪で強大な力をもった存在になります。

いわば神や教会にとっての「最大の敵」という立場なのです。

人の悪徳の原因のひとつには、堕天使たちによる誘惑の力が働いています。

ローマ・カトリック以外での堕天使

しかし宗派や宗教によっては堕天使の解釈は異なってきます。

宗教・宗派による堕天使の解釈
  • カトリック:悪の象徴。それぞれの堕天使=悪魔が罪や悪徳を象徴している。堕天使を研究し、それぞれに役割を与えてきた。
  • キリスト教東方教会系:強大な力をもつ邪悪な存在であるものの、カトリックのように罪や悪徳を象徴しうるほどキャラクターが立てられてはいない。
  • プロテスタント:堕天使への興味が一般に薄い。神への信仰を重視しているため。カトリック的な価値観や、天使信仰や堕天使・悪魔への研究は受け継いでいない。堕落する理由は信仰の興味外である。神への信仰が堕天使・悪魔の理解よりも優先される。
  • イスラム教:キリスト教ほどには興味が薄い。一部の堕天使に対しては、信仰形態の上での理由から同情的である。※もちろん悪徳を推奨しているわけではない。
  • ユダヤ教:教義に対して特に影響を与えない存在。天使についても信仰の対象ではない。古代においては堕天使=巨人(神が人を作る前に作った失敗作)や異教の神の生き残りとも考えられていた。

堕天使を重視するのはカトリック

カトリックはヨーロッパに広まっていき、歴史を重ねて行く過程で、多くの宗教や各地の文化の影響を取り込んでいきます。

そのため各地の人々が信仰する宗教の神を否定し、または自らの権力の下に抱き込むため、異教の神を堕天使=偽りの神あるいは神の成り損ない、として説明することを好みました。

異教の神が持っていた権威をおとしめる、あるいはキリスト教に取り込むために、神の下僕であるくせに逆らった者=堕天使という概念を利用したのです。

カトリックにおいての堕天使とは「キリスト教以外の神」でもあります。

堕天使たちが七つの大罪に当てはめられた理由も、神が作った世界に悪徳や犯罪があふれている現実に対して、「堕天使が原因」だとすることで分かりやすさを得たからです。

しかし神学の発達と共に、堕天使だけが悪の原因ではなく、人がそもそも不完全で罪深いのだ=原罪を持っていることが堕落や悪徳が存在する主な理由となっていきます。

堕天使は時代に応じて、重視される度合いや役割が変わりましたが、一定以上の地位や信仰者数を維持してもいます。

堕天使の文化的な影響は根強く、北米などでは堕天使=悪魔への信仰も好まれ、ときおり社会的な議論を招くことさえあります。

カードゲームやドラマや映画において、堕天使や悪魔をモチーフとしたものが強く糾弾されることもあるのです。

堕天使の種類

以下、神と戦ったために堕天した有力な堕天使たちです。

ルシファー

傲慢の象徴、堕天使・悪魔たちの長であり、最も偉大な力をもった天使だったが、神に戦いを挑み敗北しました。

多くの天使がルシファーに従い、神に敗北したあとはルシファー側の天使たちは皆で地獄に落とされ、堕天使となったのです。

サタン

憤怒の象徴、カトリックではルシファーと同じ存在とされています。

最も有名な悪行は、旧約聖書で蛇に化けて知恵の実をイヴに食べさせたことです。人類が楽園から追放されて死ぬ原因を与え、罪深くさせた者がサタンであるとされています。

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ベルゼブブ

ルシファー/サタンの側近です。

ハエの王であり、ハエの騎士団を率いて神とも戦います。元々は雨を司る有力な天使でした。キリスト教に集合された農耕神としての立場もあり、ハエの被害から作物を守るご利益を持っています。

ベリアル

容姿端麗な虚飾の堕天使です。イエスへの訴訟を起こしました。

イエスが地獄と地上に介入して、それらにいる者から支配権を奪ったという内容です。裁判の結果、イエスは無罪となり、キリスト教の支配が正当化されました。

人間の女性へ執着したことによって堕ちた堕天使たちは以下の通りです。

アザゼル

人間と交わる誓いを立て、人間に衣類や武器についての技術を渡しました。そのことが神にバレてしまい追放されたのです。異説ではアダムに対して仕えることを拒否して追放されたことになっています。

シェムハザ

人間の美しい娘に欲情し、仲間の天使たちと手を結び禁忌を犯しました。

その結果、罰として追放されました。アザゼルの副官ともされます。

バラキエル

アザゼルと仲が良いです。人間の娘に欲情した天使たちの一人であり、まとめて追放されて堕天使になりました。

下記の堕天使は神への信仰心ゆえに堕天使となりました。

ア・シャイターン

イスラム教の堕天使です。土から人間=神の似姿を作れといわれたときに拒否しました。

イスラム教では偶像崇拝の禁止と、神のみへの信仰が重視されるため、ア・シャイターンは神以外を信仰したくないから命令に反したとも考えられることがあり、その結果として同情されることもあります。

ア・シャイターンはサタンと同一の存在ともされる。

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堕天使と悪魔の違い

各宗教における堕天使と悪魔の関係

各宗教における堕天使と悪魔の関係は以下の通りです。

【宗教別】堕天使と悪魔の関係
  • キリスト教:堕天使=悪魔。人類の天敵が堕天使=悪魔です。堕天使=悪魔は世界のあちこちに同時に存在できるため、何人にも悪魔として取りつけるのです。堕天使=悪魔の手下には死人の魂である悪霊などがいます。
  • イスラム教:堕天使は有力な悪魔と同等の意味。それ以外の下等な悪魔としてジン=悪さをすることもある精霊や妖怪がいます。必ずしも純粋悪や罪の原因であるとはされていません。
  • ユダヤ教:堕天使は悪魔ですが、異教の神や人間より以前に作られた巨人や怪物の末裔などとも含めて悪魔と呼びます。堕天使や悪魔のカテゴリー分けには興味が薄いのです。

堕天使や悪魔を研究しているのはカトリックを筆頭としたキリスト教の特徴とも言えます。

罪や悪徳に対する罰を信仰に利用している宗教だからであり、堕天使や天使を信仰のシステム上の重要な役目を与えているからでもあります。

他教においては堕天使や悪魔についての研究そのものが発達しておらず、悪魔を考えることよりも、自身の神への信仰や戒律を守ることを重視しています

堕天使と悪魔の違い

堕天使は悪魔ですが、悪魔のすべてが堕天使とはいえません。

堕天使は元々は天使である必要がありますが、悪魔にはその条件はないからです。

悪魔は堕天使を含めて、人間に対して害を成す邪悪な霊的な存在です。

また堕天使は元々が天使であるため、その能力は高いものとされ、下級の悪魔よりも人々に信仰されることが多いようです。

悪魔は堕天使の下僕というような地位にあります。

まとめ

  • 堕天使は元々は天使
  • 堕天使は異教の神が原型となってもいて、カトリックで発達した考え
  • 堕天使には神と戦った者や、人間の女を求めて堕天させられた者がいる
  • 堕天使は悪魔であるが、悪魔の全てが堕天使ではない。

堕天使はカトリックが発展させた存在でもあり、カトリックの天敵にもあたります。

信仰上の役回りを堕天使=悪魔に与えてもいたため、研究が進みました。

一方で、聖書を経典とした他の宗教では堕天使の研究はそこまで進みませんでした。

つまりキリスト教の支配力を高めるために利用されたのが堕天使たちです。

研究成果として堕天使たちのイメージは洗練されてしまい、現代でも堕天使=悪魔への信仰は一部で行われ、娯楽作品など創作物への影響も強く残っています。

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