ユダヤ教とは?教えや食事、歴史などについて簡単に解説

世界にはたくさんの宗教が存在していますが、今回ご紹介するのは「ユダヤ教」です。

ユダヤ人の宗教としての認識を持っておられる方も多いユダヤ教ですが、日本人にはあまり馴染みの深い宗教ではありません。

どういった宗教なのか、ユダヤ教の教えや聖地、文化や歴史などを解説していきます。

ユダヤ教の聖典

聖典は旧約聖書

唯一神ヤハウェを信仰する契約宗教の一つであり、最も有名なユダヤ教の聖典は旧約聖書になります。

ユダヤ教徒における世界の創造の物語や、エデンの園、古代のユダヤ人たちの英雄物語や苦難の歴史などが記されたものが、旧約聖書です。

ちなみにキリスト教の聖書は、新約聖書とされていて、イエス・キリストの物語を中心に描かれたもので、旧約聖書からは後の時代に書かれたものになります。

キリスト教でもイスラム教においても、旧約聖書は聖典の一つです。

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他の聖典

口伝の立法を編纂したミシュナ生活の規範を示すタルムードなどがあります。

これらの聖典により、ユダヤ教における法律、社会的慣習や、一般生活に関する口伝や説話などが伝えられているわけです。

そして、その聖典たちの教訓や法律などから、ユダヤ教徒がどういった行動を取るべきなのか、ユダヤ教の文化とはどういう存在なのかが定義されていくことになります。

ユダヤ教徒の信者数

現在、世界には1500万人ぐらいのユダヤ教徒がいるとされています。

ユダヤ教の戒律

七つの戒め

ユダヤ教の神さまが旧約聖書に登場する人物、ノアを通して人類に与えた七つの戒めというものがあります。

それは以下の通りです。

七つの戒め
  • 偶像崇拝の禁止。
  • 殺人の禁止。
  • 盗難の禁止。
  • 性的不品行の禁止。
  • 冒涜の禁止。
  • まだ生きている動物の中から取られる肉を食べることの禁止。
  • 法的手段を提供するために裁判所を維持するための要件。

ユダヤ教徒の食事

宗教によっては食事に対して、色々なタブーが存在しています。

ユダヤ教ではカシュルートとされるものがあり、これは戒律によって定められた食料品の品目や、調理や加工などの方法がユダヤ教的に正しいものを示す言葉です。

ユダヤ教徒が食べてもいい食料品はカシェル食品とされ、その認証を受けたマークなどが欧米の食品などには記されています。

ユダヤ教徒は基本的に、このカシェル食品を摂取することを求められているわけです。

ユダヤ教の安息日「シャバト」の厳守

旧約聖書では神さまが世界を1週間で作ったことになっており、神さまは7日目に休息を取りました。

その神さまの休息を由来として、ユダヤ教では1週間のうち1日を安息日(「シャバト」)とするように求めています。

ユダヤ教ではその安息日は、どんな労働もしてはならないことになっているのです。

安息日に働く救急車に大して投石がされたこともあります。

ユダヤ教徒の女性同士の同性愛は戒律に反さない

ユダヤ教徒の女性同士の同性愛は戒律に違反しません。

その反面で、男性同士の同性愛は戒律を破ることになるとされています。

ユダヤ教の聖地「嘆きの壁」

エルサレムにある嘆きの壁(出典:viator.com)

ユダヤ教の聖地はエルサレムにあります。

とくに、かつてのエルサレム神殿の外壁の一部が残存しており、それは「嘆きの壁」として有名です。

エルサレムはキリスト教とイスラム教の聖地でもあります。

ユダヤ教徒の教育方針と文化

教育に力を入れて来た

ユダヤ人は伝統的に教育へと力を入れて来た民族です。

ほとんどの人が読み書きが出来なかった紀元前の頃から、ユダヤ人の共同体では無料の教育機関が存在しました。

ユダヤ人にとっては、子供に高等な教育を施して、立派なユダヤ教徒を作ることが出来た者には永遠の命が与えられるとされています。

帽子はユダヤ教の聖地では必需品?

ユダヤ教徒がかぶる帽子「キッパー」(出典:independent.co.uk)

神聖な場所では、神さまへの敬意の証として男子は帽子を被ることが決められています。

ユダヤ教徒でなかろうとも、ユダヤ教の聖地や神聖な場所に入る場合は、着帽を求められるわけです。

ユダヤ教徒以外のために、レンタルの帽子が用意されていることもあります。

この帽子の名前はキッパーといい、形状は小さな皿状で、頭の片隅に乗せるようにしてかぶります。

かぶる位置には決まりはなく、小さなものはピンで留めるようにしてかぶる場合もあり、その起源は明確には分かっていません。

キリスト教とが聖なる場所で脱帽するため、その逆を行ったという古い記述も存在しています。

ユダヤ人とユダヤ教徒は必ずしもイコールではない

ユダヤ教徒には改宗すれば誰でもなることが出来ます。

しかし、ユダヤ人は「ユダヤ人の母親を持つ者」と定められている場合があるのです。

父親よりも母親の方が確実に子供と血はつながっているから、という理屈に由来しています。

ユダヤ人であっても、ユダヤ教を信じていないヒトもいるため、その人物はユダヤ人でありユダヤ教徒ではないヒトになるわけです。

ユダヤ教の歴史

初期のユダヤ教の成立は紀元前1280年頃

その頃に出エジプトを行ったモーゼが、シナイ山で神さまであるヤハウェから十戒を与えられ、契約を結んだとされます。

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ヘブライ王国の成立と分裂

紀元前1080年頃にヘブライ王国が誕生しましたが、やがてイスラエル王国とユダ王国に分裂します。

バビロン捕囚とユダヤ教の誕生

ユダ王国は新バビロニアに滅ぼされ、バビロンに捕囚されました。

いわゆる「バビロン捕囚」です。

バビロンでは神殿などを作ることが許されなかったため、ユダヤ教徒たちには己のアイデンティティを問い直す契機になりました。

王国も神殿もない状況で、ユダヤ教徒たちは宗教改革を行います。

強烈な異教の為政者の支配下にあろうとも、異教に取り込まれないようにアイデンティティを確立した宗教が誕生しました。

それがユダヤ教です。

旧約聖書の天地創造の物語なども、この頃に作られたとされています。

外圧にさらされている時代に、自分たちの民族の歴史に、神さまの物語などを足していくことで、ユダヤ教を完成させていったわけです。

ローマ帝国によるエルサレムの破壊

元々、幾度か分裂と移住を繰り返し、世界中に離散する傾向を持っていましたが、ローマ帝国と対立し、戦争の後に敗北、ユダヤ人の離散は加速していくことになります。

キリスト教が確立した後のユダヤ教徒

ヨーロッパでキリスト教が強い力を持ち始めると、異教徒であるユダヤ教徒の地位はより下がります。

キリスト殺しの罪深い民ともされて迫害が始まり、中世の十字軍遠征の時代にキリスト教が熱狂的な盛り上がりを見せると、迫害と差別がより強まっていきました。

敵を作れば盛り上がるわけです。

ラテラノ公会議により差別が更に加速

1179年の第三回、および、1215年の第四回ラテラノ公会議において、ユダヤ教徒がキリスト教徒を使役することが禁じられます。

貿易、農耕などの産業からのユダヤ人の排除と、ユダヤ人居住区「ゲットー」への隔離が進むことになりました。

第二次世界大戦ではナチスにより虐殺された

第二次世界大戦のさいには、ドイツ国内だけでなく、ドイツ占領下にあったヨーロッパ各地のキリスト教国からも大量のユダヤ人がドイツに送られ、ナチス・ドイツによるホロコーストの犠牲者は増大します。

イスラエルの建国

イギリスなどの後押しにより、ユダヤ人国家イスラエルがパレスチナの地に第二次世界大戦後に誕生しました。

その結果、それまでパレスチナに住んでいた人々の居住地をイスラエルが奪う形になり、占領は拡大をつづけています。

イスラエルとパレスチナのあいだには、時に暴力を伴う対立が繰り広げられる形となってしまい、その対立が解決する日は遠そうなのが現状です。

まとめ

  • 旧約聖書が聖典。
  • ユダヤ教は色々と戒律もある。
  • 聖地は嘆きの壁。
  • 教育熱心なのは紀元前から。
  • 神聖な場所では男は帽子をかぶる。
  • ヨーロッパで長年差別されてきた。

日本人には馴染みの薄いユダヤ教ですが、さまざまな戒律や独自の文化を持っています。

戒律や儀式めいたことが多くあり、端的に表現することが困難な部分が存在するのもユダヤ教の特徴かもしれません。

他の宗教との対立から、独自色の発展が強まっているようにも感じます。

国家という器が長らく存在しなかったため、宗教が多くの規範や文化的なアイデンティティーの創出を担うという役割が発達したのかもしれません。

理解することに時間を要する宗教だと思います。

しかし、ユダヤ教の聖典である旧約聖書は、天使やら英雄やらが出て来るため、そこそこ読みやすい物語です。

後学のために読んでみるのも、面白いかもしれませんね。

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