「グリュック王国ってどこにあったの?」
「グリュック王国のコンセプトは?」
「閉園したグリュック王国のその後は?」
こちらをご覧の皆さんは、このようなことが気になっているかもしれません。グリュック王国とは、北海道帯広市につくられたテーマパークでした。一時は年間71万人の来園者でにぎわっていました。しかし、1997年以降、来園者は大きく減少。多額の累積赤字を抱えて閉園しました。
2007年に閉園が正式決定した後、建物や土地は競売にかけられる予定でした。しかし、売却は思うように進展せず、グリュック王国の建物はそのまま放置されてしまいました。以後、グリュック王国は廃墟化し、心霊現象が発生すると噂になってしまいます。
今回はグリュック王国がどのようなものだったのか、グリュック王国の場所やコンセプト、廃墟になった理由、現在のグリュック王国などについてまとめます。
目次
グリュック王国とは?
グリュック王国は1989年に北海道帯広市につくられたテーマパークです。過疎化が進み、国鉄路線が相次いで廃止された北海道では、各地で観光産業を振興するためテーマパークがつくられました。グリュック王国もそうしたテーマパークの一つです。
グリュック王国は帯広空港のすぐ近くにつくられました。広大な面積に大小さまざまな建物が建てられたグリュック王国は観光の目玉として期待されます。
グリュック王国でもっとも目立つ建物は「ビュッケブルク城」。これは実際にドイツにある城を再現した豪華なもので、ホテルとして利用されました。冬期はホテルを除き休業しますが、繁忙期の大型連休から稼働。開園から3年間は毎年70万人以上の来園者でにぎわいました。
グリュック王国のコンセプトは?
グリュック王国のコンセプトは中世ドイツの世界観の再現です。グリム童話の世界観を実現するため、本場ドイツのヘッセン州やニーダーザクセン州の建物を参考にした本格的な建造物が建てられました。
また、園内にはドイツにまつわる多数の像があります。入り口付近に設置された騎士ローラントの像はドイツの英雄カール大帝を補佐した伝説の勇者ですね。ほかにも、ドイツの有名な民話である「ブレーメンの音楽隊」の像や「ほら吹き男爵」ことミュンヒハウゼン男爵の像、グリム兄弟の像などもありました。
ちなみに、グリュック王国を紹介するHPが現在も残っています。在りし日のグリュック王国をご覧になりたい方はこちらのHPもご覧ください。
http://web.archive.org/web/20030610103022/www.gluck-oukoku.co.jp/
イエモンやGACKTがグリュック王国で撮影?
グリュック王国は本格的なドイツ風建築をもっていたため、アーティストたちの撮影の舞台として利用されました。中でももっとも有名なのは1999年に撮影されたTHE YELLOW MONKEYの「バラ色の日々」でしょう。
この曲はグリュック王国内のビュッケブルク上で撮影されたものです。
このMVを見た時、てっきり外国で撮影されたとばかり思っていたのですが、日本だったわけです。グリュック王国の調度品や建物がいかに本格的だったかわかります。また、2002年にはGACKTのカレンダー撮影にも使われています。
グリュック王国はなぜ閉園したの?
こんなに魅力的な建物が多く、本格的なグリュック王国ですが2007年に閉園してしまいました。いったいなぜ衰退し、廃墟となってしまったのでしょうか。
もっとも大きな原因はバブルの崩壊です。最盛期には年間70万人ほどの入場者数がありましたが、1997年には年間30万人と半減。運営会社の累積赤字は23億円に達しました。それに加えて、建物の維持・管理費が運営会社に重くのしかかりました。
もともと、冬期は営業していないなど収益面で問題を抱えていたグリュック王国は一度経営が傾くと、立て直しが困難となります。1998年に屋内プールを建設しテコ入れを図ろうとしますが計画倒れに終わりました。
また、いがらしゆみこ記念館やジョンレノン記念館など、本来のコンセプトとかけ離れたテコ入れ策も逆効果となったのかもしれません。このころには、従業員の士気があからさまに低下していました。
2002年5月にグリュック王国を訪れた観光客の方が、このころのグリュック王国の姿を紹介しています。その記事によれば、訪れる観光客はまばらで、従業員の接客姿勢も悪く、式が下がっている様子がうかがえます。
詳しくは、下記「magicboyのペルーなんじゃこりゃ日記」のHPをご覧ください。
http://www.magicboy.jp/gluckoukoku.html
これでは、閉園もやむなしといった感じですね。
2003年、運営会社はGWの営業開始を延期し、7月1日から営業するとしましたが資金繰りができず、営業再開を延期。その後も営業再開が延期され続け、結局、2007年に閉園が決定しました。
グリュック王国はなぜ廃墟になったの?
グリュック王国が廃墟となった理由は、買い手がつかなかったからです。施設が広大で、多くの企業にとって手に余るものだったからでしょう。これまで、何度か競売にかけられましたが、買い手がつきませんでした。
2010年頃、外国人投資家がホテルとして再開発するという案が浮上しましたが、これも立ち消えになりました。現在は民間企業が保有していますが、今のところ活用の予定はないとのことです。買い手がつかないグリュック王国の建物は整備されないまま、廃墟となっていきました。
現在のグリュック王国は心霊スポット?
現在、グリュック王国は立ち入りが禁止されています。もともと、民間企業の保有地なので関係者以外立ち入りできませんでした。しかし、2010年代におきた「廃墟ブーム」により、不法侵入者が後を絶たなくなります。保有者は入り口などに立ち入り禁止の立て札を立てました。
現在、インターネット上にはそうした廃墟好きの方がアップした画像がアップされています。それらの画像を見ると、園内の建物は2020年段階でもかなりしっかり残っています。目玉施設だったビュッケブルク城をはじめ、ドイツの街並みを再現した建物もその多くが原形をとどめています。
廃墟というよりは「無人都市」とした方がぴったりくるような印象です。しかし、植物の手入れなどはされていないため、それらを見るとグリュック王国が廃墟化して長い年月が過ぎたことが伺えます。
印象的なのは園内各所に自動車が乗り捨てられていること。おもに業務用の車両で会社名などが記載されていました。中には旧東ドイツの国民車「トラバント」のような車両もあります。もしかしたら、開園当時に輸入されたのかもしれません。
園内には建物のほかに観覧車やメリーゴーランドなどの遊具がありました。それらも、多くが原形をとどめています。ただ、長期間雨ざらしなので電源を入れても動くとは思えないですね。
多くの建物が朽ち果てつつあるグリュック王国の写真は、いかにも、幽霊が写りこみそうな風情のものが多いです。その様子から、グリュック王国は心霊スポットだという噂が立ちました。
無人の園内にラップ音が響く、動かないはずの観覧車が動いた、建物や木々の間から人影が見えたなど心霊現象が報告されましたが、確たるものはないようです。
まとめ
今回は北海道帯広市につくられたテーマパーク「グリュック王国」について紹介しました。グリュック王国は1989年に開園した本格的なドイツ風テーマパークです。開業当初は年間70万に人以上の観光客でにぎわいました。
しかし、バブル崩壊とともに経営が悪化。2007年に閉園します。その後、園内の建物は廃墟化。廃墟ブームなどによる不法侵入が後を絶たなくなり、現在は立ち入り禁止となっています。非常に本格的な建物が多く残るだけに、もったいない気がしますね。
コメントを残す