世界GDPランキングベスト15!一人当たりGDP等も解説

ラグビーのワールドカップが初めて開催され、二度目の夏のオリンピック・パラリンピックを目前にして、世界の国々のランキングが気になるところです。
そのような中、かつての日本が「経済大国」「経済一流(政治三流)」と呼ばれておりましたことから、経済面での順位にスポットを当ててみたいと思います。

そこで、GDPのトップ15の国を紹介し、あわせて一人当たりGDP、そしてリッチさだけでなく、国としての「真面目さ」を示す「腐敗認識指数ランキング(ランクが上位ほどクリーン)」も参考値として掲載してまいります。

尚、通貨の「ドル」はすべて、米ドルを示しております。

世界GDPランキング15位〜11位

第15位 メキシコ:1兆1510億ドル

GDPでは世界15位であるものの、購買力平価換算の一人当たりGDPは約1万7千ドル(約180万円)ですので、先進国には至っていないレベルです。
経済の主導力である自動車工業や石油精製は、アメリカに大きく依存(輸出のうち、80%近くがアメリカ向け)しています。

そのアメリカのトランプ大統領は、移民対応と引き換えに追加関税課税をメキシコに対して課すことを示唆しており、メキシコ経済の先行きに不安感を与えています。
尚、腐敗認知度数は103位であり、かつて“麻薬戦争”とも言われた暗部がまだ払拭されていないようです。

第14位 スペイン:1兆3130億ドル

一人当たりGDPは約3万ドルと、お隣のフランスの7割くらいのレベルです。国際観光客到着数がフランスに次ぐ2位であるなど、主要産業は観光業で、GDPの10%ほどを構成しています。

リーマンショックが引き金となった「欧州ソブリン危機(2010年)」は、スペイン経済を直撃して不動産バブルが崩壊し、その影響で2012年には「スペイン経済危機」と呼ばれるまでに陥りました。

カタルーニャ独立運動による緊張に加え、2019年の総選挙では新興右翼政党がかなりの議席を得るなど、経済の不安定要素が政治的不安にも繋がっています。

尚、腐敗認知度数37位と、EU主要国には後塵を拝しています。

第13位 オーストラリア:1兆3790億ドル

2018年のGDP値は、20年前である1998年の約1.8倍にもなり、またこの間、マイナス成長も経験していないという、優等生の部類に入ります。一人当たりGDPも約4万ドルと、日本に近い水準にまで成長しました。

主力産業は鉄鉱石や石炭、天然ガスといった地下資源のほか、牛肉や小麦といった農産品の輸出であり、第一次産業の比重が高い国ですが、近年では金融のほか宿泊・外食業、医療・社会保障サービス、小売業などサービス業が発展してきています。

腐敗認知度数は11位で、日本よりクリーン(汚職などが少ない)であることを示しています。

第12位 韓国:1兆5400億ドル

20年ほど前のアジア通貨危機ではIMFに支援されるほどの苦境を経験したにもかかわらず、リーマンショック以降は逆に通貨安を活かしたウォン安政策で輸出を伸ばして経済を拡大させました。一人当たりGDPも4万1千ドルと、日本のレベルに迫っています。

但し、GDPに対する貿易依存度が50%を超える(日本やアメリカは10~20%台)という統計もあるにもかかわらず、主要輸出国であるアメリカや中国との外交関係は非常に緊迫していますし、輸入の1割強を占める日本とは言わずもがなです。そんな折に、歴代の政権と全く同じように政治家スキャンダルが勃発しそうな中、先行き不透明感が漂っているようです。

腐敗認知度数が43位という、OECD加盟国の中でのかなり低いレベルは、度重なる政治家スキャンダルを反映しているのかもしれません。

第11位 ロシア:1兆5770億ドル

原油については、生産高も輸出高もサウジアラビアに次ぐ世界第2位で、また輸出の6割以上を原油や天然ガスなどの資源が占めています。しかも輸出依存度は対GDPで50%近いという、モノポリー産業構造であるの為、2014年以降の原油価格下落の影響を大きく受けました。

加えて、同年のウクライナ侵攻によって欧米諸国から受けている経済制裁も大きなダメージになっています。これらにより、2018年のGDPは、2013年に比べると30%以上も落ち込みました。

一人当たりGDPは2万4千ドルと、先進国に迫るレベルに見えますが、権力を持つものとそうでない市民との間で貧富の差が大きく、また未だにマフィア経済も跋扈(ばっこ)しています。

腐敗認知度数136位という、後発発展途上国並のレベルは、不透明な政治と経済を反映しています。

GDPランキング世界トップ10!

第10位 カナダ:1兆5630億ドル

一人当たりGDP48千ドル、腐敗認知度数(クリーン度)10位は、ともに日本より上位で、OECD(経済協力開発機構)やG7(主要先進国会議)のメンバーの中でも裕福な国として認識されています。

資源や木材、穀物といった第1次産品の輸出が多いにもかかわらず、サービス産業への従事度が7割を超えていることも、経済的成熟度を示しています。

但し、輸出8割以上がアメリカ向けであること、輸出の金額では自動車(自動車部品を含む)が最上位であるため、トランプ氏がアメリカの大統領に在任中は彼の言動に目を離せないかもしれません。

もっとも、NAFTA(北米自由貿易協定)が新しい条約に切り替わるとはいえ、トランプ氏はカナダに対しての追加関税には触れていませんが。

第9位 イタリア:1.9兆ドル

一人当たりのGDPは3万8千ドルと、日本とあまり変わらない高い水準です。
リーマンショックが引き金となった「欧州ソブリン危機(2010年)」では、ギリシャの飛び火を真っ先に受けて国債価格が暴落しました。

GDP比の政府総債務残高が130%を超えていた国は、日本のような特殊な例を別とすれば、先進国では有得ないレベルだからです。

EU各国は財政赤字を対GDP比3.0%以内に抑える目標を立てましたが、イタリア政府はその目標の為に分母のGDPを大きくしました。

密輸、麻薬取引、売春などの地下経済をGDPに加算したのです。イタリア銀行によると、地下経済の規模はGDPの1割ほどにも達していたという推計がありました。

腐敗認知度数が69位と、G7国中最低なのも、地下経済の存在などによるところもあるかもしれません。

第8位 ブラジル:2兆550億ドル

世界有数の農業・資源国で、大豆やコーヒー、鉄鉱石の対米・対中輸出が盛んな輸出志向型の経済です。

その一方で第三次産業の構成はGDPの中で70%を超えており、特に情報通信の分野が急成長しています。

1973年から20年も続いたハイパーインフレ、アジア通貨危機の飛び火による経済危機を乗り越えて、2007年にはIMF(国際通貨基金)への債務を完済しました。

ただ、オリンピックの前年を頂点として経済は再び下降路線に入り、その影響もあってか「ブラジルのトランプ」と異名をとる、極右のボルソナロ氏が大統領に選ばれました。山火事への対応を巡って諸外国に争う姿勢を見せるなど、一国の先行きに注目が寄せられます。

尚、一人当たりGDPは約1万5千ドル、腐敗認知度数は69位で、このあたりはまだ先進国には及ばない水準です。

第7位 フランス:2兆5870億ドル

世界観光機関によると、国際観光客到着数は2018年までの3年連続で1位という観光立国である一面、世界有数の農業国でもあります。

農業の生産額は世界6位ながらも、輸出額は世界第2位で、輸入超過であるフランスの経済を支えています。

一人当たりGDP4万3千6百ドルからはトップレベルの豊かさがうつりますが、近年では失業率が高水準で推移しています。豊かな国であったがゆえに、アラブの春やシリア内戦によって引き起こされた移民がフランスを目指してきたこと、そして嘗ての植民地から地中海を越えて難民がやってきていることに、失業率は関係しているのでしょう。

極右政党・国民戦線(FN)のルペン党首が大きな影響力を持ったという社会変化は、アメリカに始まってイギリスやドイツ、スウェーデンなどを揺るがせている流れと同じかと思われます。

尚、腐敗認知度数が26位というのは、日本やアメリカなど他の先進諸国と比べると低い水準です。

第6位 インド:約2兆5900ドル

どちらも世界第4位の採掘量を誇る石炭と鉄鉱石に代わり、GDP構成比の3割ほどを占めるようになった情報技術・ビジネス・プロセス・アウトソーシングといったビジネスが、近年のインド経済を支えています。

ハイテク産業化の為に、政府は情報通信などの高度技術者をバンガロールに誘致しています。彼らは英語を流暢に話せるため海外からの需要にも応じることができ、経済成長の原動力ともなっています。

半面、1人当たりGDP7千ドルと、BRICs諸国の中での低水準の背景には、大きな貧富の差があります。一日20ルピー(約40円)以下という、世界でも最低水準の生活を強いられる人々が7億人以上(人口の6割以上)も存在しているのが現実です。

腐敗認知度数も85位と、経済成長にそぐわない水準であるのも、こうした社会現象と関係があるといえるでしょう。

第5位 イギリス:約2兆6280億ドル

ロンドンが世界最大級の金融街であることが象徴しているように、金融保険業や不動産業がGDPに占める割合が、日本や他の欧州諸国に比べても高いのが特徴です。

1人当たりGDPも4万4千ドル、腐敗認知度数は14位と、トップレベルの成熟度であり、これほどの先進国になると「経済成長」よりも「安定度」が重要でしょう。

しかし、EUからの離脱を巡る混迷が、やはり不安な要素になっています。金融センターとしての地位がどうなるか判らないのみならず、自由貿易が維持されなくなると、他のEU諸国向け輸出拠点としての自動車産業などの存在価値が危ぶまれることになります。

また関税同盟への残留希望から、北部アイルランドの独立気運が高まり、そこからスコットランド独立運動へ飛び火する可能性も否定できません。

第4位 ドイツ:約3.7兆ドル

移民の増加、そしてトランプ氏の影響によるポピュリズムの台頭は、欧州全体の問題ではありますが、その中でドイツは、政治的不安を最小限度に留めていると言えます。

1人当たりGDPが5万ドルという、EU主要国の中でもトップレベルの豊かさと、自動車や機械を中心とした実体経済と輸出の安定が社会を支えている側面もあります。

加えて、GDP比60%弱という政府総債務残高の少なさも、先進国ではトップレベルの健全度です。腐敗認知度数が12位と、GDPトップ10位の国の中で最上位であるのも、財政や経済の健全性に裏打ちされているのかもしれません。

今後のかじ取りさえ間違わなければ、「EUのリーダー」としての地位とともに、経済的繁栄も当分は続くものと予測されます。

第3位 日本:約4.8兆ドル

現在でも自動車や半導体の輸出が堅調な「経済大国」ではありますが、腐敗認知度数は15位と、未だに汚職などは蔓延しているようです。

「失われた30年」の間に積みあがってGDPの2.3倍を超えた政府債務残高は、統計が取れるなかでは世界最悪です。

かつては「一億総中流」と言われるように経済格差の小ささが世界から賞賛されていましたが、アベノミクスによって貧富の差が急拡大し、1人当たりGDP4万2千ドルがどのくらい実感されているかは疑問のあるところです。

また、ドル購入による官製円安誘導と、日銀による銀行保有国債買い上げで、「借金返済の為に紙幣を発行」という、ハイパーインフレを起こす前のような経済政策が行われています。

今、世界の有識者は、「MMT(Modern Monetary Theory = 破綻した国の国債は外貨建てだったが、自国通貨建てで発行された国債ならば中央銀行が買い取れるから破綻しない)の試験管」、つまり「本当に破綻しないか」を見定めようとしているといわれています。

第2位 中国:約12兆ドル

コンピュータ・通信機器や鉄鋼をはじめとした輸出総額が世界第一位となるなど、急拡大した経済大国です。

ただ、1人当たりGDPの水準は1万7千ドルとメキシコよりも低く、また都市部と地方、一部の成功者とそれ以外の経済格差が非常に大きいだけでなく、一人っ子政策による少子高齢化が今後急速に進むと予測されています。

主要輸出先である米国での関税問題が国内の消費を落ち込ませ、都市部の賃金上昇による工場の海外移転の動きに拍車をかけそうです。

こうした不安に対して強権で臨んだことが香港の問題を引き起こし、それが台湾の独立派を活気づけていますし、民主化の動きがウイグルを始めとする国内へ飛び火しないように情報統制を強めていると言われています。

腐敗認知度数が100位と、経済大国とは思えないレベルであるのは、言論が抑制されていることとも関連しているのでしょう。

経済の先行きに懸念はあっても「世界制覇」へ向けた動きは衰えず、インド洋制覇の為に借金漬けにしたモルディブなどに続き、台湾と国交を結んでいる太平洋島嶼国に経済支援を名目に近づき、対米監視の軍事拠点化を画策しています。

第1位 アメリカ:約20兆ドル

「世界の警察官ではない」と述べた大統領の次に、世界をかき乱すかのような大統領が出現し、第二次世界大戦中から続いた「世界の中心としての役割」が今後はどうなるのか注目されています。

しかし、「法治、民主主義、自由」という、普遍的な価値観が世界から完全に失われとは考えられず、逆に覇権勢力から世界を守る為には、アメリカの力に頼らざるを得ないというのも、暗黙の了解に近いといえます。

「人種のるつぼ」でありながらも、腐敗認知度数が17位であるのは「法治と民主主義」が行き渡っていることの証左でしょう。

経済的には、ITを中心とした第三次産業がGDPの80%以上を構成するものの、大豆や小麦・トウモロコシを中心とした農産物輸出額は世界一位、またシェール革命によって原油生産量も世界一位と、非常に強い基盤を持っています。

1人当たりGDP5万9千ドルは、北欧などには及ばないものの、大国としてはトップクラスであり、「個人の力を発揮できる国」の基盤ともなっていると考えられます。

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