キリスト教徒が少数派である日本でも、クリスマスは大人気のイベントです。
宗教に関係なく、クリスマスは世界的なイベントになっています。
じつは、キリスト教ではなくユダヤ教にもクリスマスに似たお祭りがあります。
それはハヌカーと呼ばれる祭りのことで、ユダヤ式のクリスマスとも呼べるものです。今回は、そんなハヌカーについてご紹介していきます。
ハヌカーの開催日程はユダヤ暦によって決まっている
ハヌカーはいつ行われるのか?
ハヌカーが始まる日時は、ユダヤ暦のキスレーウ月の25日になります。
ユダヤ暦は「太陰太陽暦」という手法で組み立てられた暦であり、月の動きを基準とした太陰暦に、太陽の動きを参照して、日時のズレを修正するための閏月(うるう月)を入れたものです。
ユダヤ暦は、基本的には12月までですが、19年に7回のペースで13月が組み込まれています。
ハヌカーはいつまで行われるのか?
ハヌカーの開催期間は、ユダヤ暦の9月にあたる、キスレーウ月の25日から8日間行われる祭りです。
クリスマスとは異なり、1日ではなく、8日間の開催期間を持っているのです。
2019年のハヌカーはいつからいつまで?
12月22日の日曜日の夕方にスタートし、12月30日の月曜日の夕方に終わります。
ハヌカーの西暦による開催日程は、毎年、若干ズレることになり、11月から12月のあいだに行われています。
ハヌカーにかかわらず、ユダヤ教のお祭りの開催日程は、すべてユダヤ暦により決定しているのです。
ハヌカーの意味と行う目的は?
ハヌカーの意味
ハヌカーという言葉の意味には、ヘブライ語で「ささげる」という意味があります。
そもそもハヌカーが始まった理由は、紀元前二世紀にまで遡ることになるのです。
当時、イスラエルの地はギリシャ人の勢力下にあり、エルサレム神殿は占領されていたのです。
ユダヤ人たちはユダヤ教を禁じられ、弾圧を受けていたのですが、反乱を決行します。
そして、戦争の結果、紀元前165年にエルサレム神殿をユダヤ人たちは奪還したのです。
その勝利を記念し、再び神殿を使い神に「捧げものが出来るようになった」ことがハヌカーの由来となります。
また、ハヌカーという言葉には、上記のものとは別の解釈も神学的に行われてもいるのです。
ハヌカーを「ハヌー/彼らは休んだ」と「カフ/20」、「へー/5」という意味に分解してとらえることで、「25日から休む」という意味もある、という解釈もされています。
ハヌカーは燭台の油にまつわる祭り
エルサレム神殿を奪還したユダヤ人は、燭台を灯すための油の壺をギリシャ人に壊されていたことに気がつきます。
壊されていなかった油の壺はただ一つだけ見つかり、それを使って火を灯すことになったのです。
その油は1日で使い果たすほどの量しかなかったはずなのに、8日のあいだ燃え続けたと伝えられています。
つまり、この8日間がハヌカーの開催日程に反映されているのです。
また油を使い火を灯すことから、ハヌカーには「光の祭り」という別名もあります。
ハヌカーを行う目的
迫害およびエルサレム神殿の奪還というユダヤ教の歴史を忘れないようにするためと、神への捧げものが出来る喜びを目的として開催されています。
しかし、現代ではもっぱらクリスマスの影響を受けているため、クリスマス化していき、子供たちは8日間に渡ってプレゼントがもらえる日となっているのです。
宗教行事ですが、お祭りという様相が強くなっています。
ハヌカーの具体的な行い方
ハヌカーでは燭台に火を灯す
ハヌカーでは9本のロウソクを立てることが出来る、「ハヌキア」という燭台を使います。
ハヌキアの使い方は、初日は2本のロウソクを立てて、1日ごとに1本ずつロウソクを追加していくのです。
ハヌカーの最終日にあたる8日目には、9つ全てのロウソクが立ち、それが灯火を宿している形になり完成します。
ハヌカーでは燭台に灯火が燃えているあいだ歌を捧げる
ハヌカー用の燭台であるハヌキアに灯火が燃えているあいだは、クリスマス・ソングに対応するように、「ハヌカ・ソング」を歌うことになるのです。
ユダヤ教の宗派によって、歌い方などが異なっています。
30章の詩篇を歌うものもあれば、詩篇の最初だけの詩を繰り返して歌う場合もあるのです。
また同じ歌だとしても、歌うための発音方式や、韻が異なる場合もあります。
有名なハヌカ・ソングには、「マーオーズ・ツール」があり、これはエルサレム神殿を取り戻したことを記念する歌になります。
ハヌカーではドレイドルとハヌカ・ゲルトがもらえる
ハヌカーでは子供たちへのプレゼントとして、ドレイドルと呼ばれる四角錐型のコマ(各面に文字が刻まれていて、サイコロとしても使える)と、ハヌカ・ゲルトという金貨を模したチョコレートが与えられます。
ハヌカーでの子供たちの遊びとして、ドレイドルを回してサイコロのように使うことで、チョコレートであるハヌカ・ゲルトのやり取りをすることもあるのです。
ドレイドルを回して、出た面によって、チョコレートを取り合うことになります。
もちろん、クリスマスと同様に伝統的なプレゼントだけではなく、クリスマス・プレゼント同様に「ハヌカー・プレゼント」がハヌカーの開催期間のあいだ毎晩もらえます。
クリスマスより8倍得した気持ちになれるような仕組みです。
なおユダヤ教の子供たちは、ハヌカーの開催期間は休日となります。
しかし、大人は通常の暦通りに働いているのです。
子供たちに人気が高いのは、クリスマスと同様になります。
ハヌカーではスフガニアを食べる
ハヌカーでは、その由来から「油」が重要視されています。
そのため、ハヌカーで食べられる料理にも、多くの油が使われることになるのです。
スフガニアは、その中にイチゴのジャムを入れたパンを油で揚げて、砂糖やチョコレートなどで飾りつけたものになります。
イチゴジャム入りのドーナツといったような食べ物になるわけです。
ハヌカーでは、このスフガニアを大量に作ることになります。
ハヌカーではスフガニア以外にも油っこい料理を食べる
ハヌカーで伝統的に食べられているのが、ハッシュドポテトにも似た食事である、レヴィヴァ(ラトケス)です。
この料理のレシピは、すりつぶしたポテトを、油を大量にしいたフライパンで焼いていくことになります。
ポテトのパンケーキのような存在であり、これにサワークリームをかけたり、あるいはアップルソースなどをかけるのです。
ハヌカーでは、スフガニアにしろレヴィヴァにしろ、油っこい料理を大量に食べることになるので、「ハヌカー太り」という言葉も存在しています。
ハヌカーでは「ハヌカー・ブッシュ」がある
ハヌカー・ブッシュはクリスマス・ツリーに似たものになります。
共に常緑樹の木を用いることになりますが、伝統的なユダヤ教の方式というわけではないのです。
そのため飾らない家もあります。
まとめ
- ハヌカーはユダヤ暦の9月25日
- ハヌカーは8日間に渡り開催される
- ハヌカーは2019年では12月22日の夕方から30日の夕方まで
- ハヌカーでは歴史的なイベントを記念する目的がある
- ハヌカーでは油っこいスフガニアを食べる
- ハヌカーでは燭台を使う
- ハヌカーはとても楽しい祭り
ハヌカーとクリスマスは同じような時期に開催される祭りです。
しかし、両者の由来は、エルサレム神殿奪還の記念と、開祖の誕生日を祝うという違いがあります。
ですが子供たちがプレゼントをもらえる楽しい休日であることは、共通しているようです。
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